無添加ピーナッツバターの作り方|家で本格的に作る手順と、知っておきたいこと

2026年5月更新|麻布十番のお店で、家で作る方・専門店で買う方、両方のお客さまと話す中で気づいたことを書きました
お店をやっていると、ピーナッツバターを「家で作っている」とおっしゃるお客さまにも、しばしばお会いします。
理由はさまざまです。「自分で作るのが好きで、いろいろなものを家で作っている」「添加物の入っていないものを食べたい」「自分の好みの粒の大きさに合わせたい」。一方で、「以前は家で作っていたけれど、続かなくなって」とおっしゃる方も少なくありません。
このページでは、家で本格的に無添加のピーナッツバターを作るための手順を、お店の立場からご紹介します。あわせて、家で作ってみてはじめて気づくことや、専門店として日々ピーナッツバターを搾っている私たちが思うことも、正直に書きました。
家で作る手順をお伝えする記事ですが、麻布十番のKINOMINOのお店では、ご注文をいただいてから1瓶ずつ搾る無添加のピーナッツバターも販売しています。詳しくは記事の中でご紹介します。
もくじ
ピーナッツバターを選ぶときの3つの方法
ピーナッツバターを食卓に置くとき、選び方は大きく3つに分かれるのではないかと思います。
ひとつめは、スーパーで300〜500円ほどで売られているタイプ。手軽で身近ですが、原材料表示を見ると、ピーナッツ以外に砂糖、植物油脂、ショートニング、保存料などが入っていることが多いものです。お料理の調味料というより、パンに塗る甘いスプレッドとして親しまれてきた商品分野です。
ふたつめは、家で無添加で作る方法です。原材料が自分でわかるので安心ですし、ピーナッツの香りがそのまま立ち上がる、本来のピーナッツバターの味を楽しめます。ただし、後ほどお伝えしますが、本格的に作ろうとすると、それなりに手間と時間がかかります。
みっつめは、専門店で買う、という選択肢です。家で作るのと同じく無添加ですが、作る手間はかかりません。価格は廉価な市販品より上がりますが、ピーナッツの品種選びや焙煎の調整が、家庭ではむずかしい水準でなされていることが多いものです。
このうち、「ピーナッツの香りそのものを楽しみたい」「料理にも使いたい」と思う方の選択肢は、ふたつめの『家で作る』とみっつめの『専門店で買う』の2つに、自然と絞られるのだと思います。このページは、その2つを比べる記事ではありません。両方を知った上で、ご自身のライフスタイルに合うほうを選んでいただけたら、と思って書いています。
家で作る前に:おいしさのカギは焙煎にあります

家でピーナッツバターを作るとき、まず最初に伝えしたいことがあります。
「ピーナッツバターは、ピーナッツをひたすら攪拌すればできあがる」と書かれていることが多いのですが、本当においしいピーナッツバターを家で作ろうと思うなら、生のピーナッツを、自分で焙煎するところから始めるのが理想です。
市販のローストピーナッツも、もちろん使えます。ただ、お店で売られているローストピーナッツは、焙煎されてから時間が経っていることが多く、香りが少しずつ抜けていきます。ピーナッツバターには砂糖や植物油脂が入っていることが多いので、家庭で作るときも市販のローストピーナッツでそれなりにおいしく作れていたのは、そういう加工で味が補われていたから、という面があります。
無添加で作るとなると、原料の質がそのまま味に出ます。煎りたての生ピーナッツで作ったピーナッツバターと、市販のローストピーナッツで作ったものは、香りの広がり方がはっきり違うのだと思います。
生ピーナッツは、スーパーで見かけることはあまりありません。ネットで「生ピーナッツ」「殻なし生ピーナッツ」と検索すると、千葉県産のものが見つかります。多くの場合、殻は取り除かれた状態で、けれども渋皮(茶色い薄皮)はついたままで売られています。素材から始めるとなると、ここから少しの手間がかかります。けれど、その手間が結局、家で作るおいしさの大半を決めるのです。
無添加ピーナッツバターの作り方

無添加で本格的に作るためのレシピを、ご紹介します。生ピーナッツから始める前提で書きました。
材料(できあがり約200g)
- 生ピーナッツ(渋皮つき) 約280g(渋皮を取り除くと250gほどになります)
- 塩 ひとつまみ(風味のため、お好みで)
- はちみつまたはメープルシロップ 小さじ1〜2(甘みをつける場合のみ)
作り方
- オーブンを170℃に予熱しておきます。
- 生ピーナッツを天板に重ならないように広げ、170℃のオーブンで15〜20分ほど焼きます。途中で1〜2回かき混ぜると、焼きむらが減ります。香ばしい香りが立ち、薄く色づいたら取り出します。焼きすぎると苦みが出るので、様子を見ながら進めてください。
- 粗熱が取れたら、渋皮を取り除きます。手でこすり取るか、ボウルに入れて清潔な布巾で包んで軽くこすり合わせる方法だと、まとまった量を一度に処理できます。後ほどお伝えしますが、この工程が家で作るときに一番手間のかかるところです。
- 渋皮を取り除いたピーナッツをフードプロセッサーに入れ、塩を加えます。
- フードプロセッサーを回します。最初は粉状になり、続いて湿ったそぼろのようになり、やがて全体がペースト状になってきます。容器の側面についたものを2〜3回ヘラで集めながら、合計5〜10分ほど回し続けます。
- 滑らかになってきたら、お好みではちみつやメープルシロップを加え、さらに30秒ほど回して全体になじませます。
- 清潔な瓶に詰め、常温で保存します。ピーナッツバターは油分が多く水分が少ないので、無添加でも常温で1〜2ヶ月ほど日持ちします。香りのよい状態で召し上がるなら、できあがってから2〜3週間以内が目安です。
できあがったばかりのピーナッツバターは、ほんのりと温かく、ピーナッツの香りが瓶のなかからふわっと立ちます。家で作って一番うれしい瞬間が、おそらくこの最初のひとくちです。
おいしく作るための4つのコツ
レシピ自体はシンプルですが、ちょっとした違いで仕上がりが変わります。家で作っていらっしゃるお客さまから教わったことや、私たちが店でやっていることのなかから、ご家庭でも応用できる4つをお伝えします。
1. 生ピーナッツから始める
先ほどもお伝えしましたが、これがいちばんの違いです。市販のローストピーナッツでも作れますが、無添加で作るときは原料の状態がそのまま味に出ます。少し手間でも、生ピーナッツから始めると、香りの厚みが変わるのだと思います。
2. 焙煎は中火で、時間をかけて
家庭用オーブンの場合、165〜170℃で15〜20分ほどが標準です。途中で一度かき混ぜて、ピーナッツが薄く色づいたら頃合いです。焙煎が浅いと香りが立たず、深すぎると苦みが出ます。このバランスを見つけるのが、家で作る楽しさのひとつでもあります。
3. 渋皮はできるだけ取る
ピーナッツの茶色い薄皮には、栄養が多く含まれているのですが、ピーナッツバターにすると、わずかな苦みやえぐみとして残ります。手間ではあるのですが、滑らかな口当たりと澄んだ風味のためには、渋皮を取り除くことをおすすめしています。布巾で包んでこすると、まとまった量を一度に処理できます。
4. 油は加えない
パンに塗りやすくするために油を加えるレシピを見かけますが、無添加で作るなら、油は加えないことをおすすめします。ピーナッツ自体に約50%の油分が含まれているので、フードプロセッサーで充分に攪拌すれば、その油だけで滑らかなペーストになります。油を加えると風味が薄まり、せっかくの香りが立ちにくくなります。
家で作ってみて気づくこと
家でピーナッツバターを作るのは、料理として楽しい工程です。お客さまから「自分で作るとピーナッツがこんなに香るとは思わなかった」と感想をいただくことも、よくあります。
一方で、「思ったより大変で、続けられなかった」とおっしゃる方も、同じくらいいらっしゃいます。家で作ってみてはじめて気づくことを、いくつか書いておきます。
生ピーナッツを手に入れるのが意外と大変です
スーパーで売られているのは、ローストされたピーナッツかバターピーナッツがほとんどで、生のピーナッツは見かけません。本格的に作ろうとすると、ネットで産地から取り寄せる必要が出てきます。千葉県産の良質な品種は、収穫の季節(10〜11月)以外は手に入りにくくなります。
焙煎の見極めにも、慣れが要ります
家庭用オーブンは機種によって火の通り方が違うので、最初の何回かは「焼きすぎた」「焙煎が浅すぎた」という当たり外れがあるかもしれません。レシピは目安にしかならず、自分の家のオーブンで何度か試して、ちょうどいい時間を見つけていく工程になります。
渋皮を取る作業が、思った以上に手間です
生ピーナッツを買うと、ほとんどの場合、渋皮(茶色い薄皮)がついた状態で届きます。この渋皮を一粒ずつこすり取っていく作業が、家で作るときに最も手間のかかる工程です。布巾で包んでこすり合わせれば多少はまとめて処理できますが、それでもピーナッツ280g分をきれいにむくとなると、10〜15分ほどかかります。渋皮を残したままだと、ピーナッツバターに苦みやえぐみが出るので、ここを省略することもできません。家で作ったあと「これなら買ったほうが…」と思う方の多くが、この工程の地味な手間に言及されます。
全工程で1時間ほどかかります
焙煎で15〜20分、冷ます時間で10分、渋皮取りで10〜15分、フードプロセッサーで10分、片付けまで含めると、おおよそ1時間ほどです。週末に時間をとってじっくり作るなら楽しい工程ですが、平日の朝に手早く作る、というわけにはいきません。
1回で作れる量に限度があります
家庭用フードプロセッサーは、一度に処理できる量に限りがあります。ピーナッツ280g(渋皮を取って250g)から、できあがるピーナッツバターは約200g。これは、毎朝パンに塗る方なら2〜3週間で食べきる量です。常温で1〜2ヶ月ほど日持ちはしますが、香りは時間とともに少しずつ抜けていくので、できあがってから2〜3週間以内に食べきっていただくのが、おいしくお召し上がりいただける目安です。
そのため、続けようとすると、月1〜2回は作る必要があります
1回の作業が1時間ほどかかるとして、毎月2回繰り返すと、年間で24時間ほどになります。「家で作っている」とおっしゃっていた方の半分くらいが、1〜2年で「結局買うようになりました」とおっしゃるのは、こうした継続のむずかしさが背景にあるのかもしれません。
もちろん、作ること自体を楽しみとしている方にとっては、これらは「大変なこと」ではなく「楽しい工程」です。週末の朝にゆっくりとオーブンを温めて、ピーナッツの焼ける香りに包まれながら過ごす時間は、お金で買えるものではありません。
ただ、平日の朝のパンに、無添加のおいしいピーナッツバターを当たり前のように塗りたい、という暮らし方をしている方には、もうひとつの選択肢があります。それが、専門店という選択肢です。
KINOMINOがお店でしていること
ここまでお読みいただいて、ありがとうございます。最後に、私たちのお店のことを少しだけ書かせてください。
KINOMINOは、麻布十番にある、ナッツバターの専門店です。お店の中に、海外から取り寄せた専用の搾り器を5台置いています。ご注文をいただいてから、ピーナッツをこの搾り器に入れて、ひと瓶ずつ搾ります。
使っているのは、千葉県産のナカテユタカという品種のピーナッツを100%です。一般のスーパーでは、品種を選んでピーナッツを買うことはほとんどできませんが、家庭で作る方にとってもこの品種選びは、おいしさを左右する大きな要素です。ナカテユタカは、煎ったときに香ばしさがまっすぐ立ち上がる品種で、私たちのお店でも、ずっとこの品種を使っています。
焙煎は、ピーナッツの状態に合わせて毎回少しずつ調整しています。気温や湿度で水分が変わるので、画一的な温度・時間では、いちばんおいしいところに届かないのです。お店ではこの調整を、毎日繰り返しています。
そして、砂糖も、植物油脂も、保存料も、何も加えていません。ナッツだけです。家で作るピーナッツバターと、考え方は同じです。違うのは、品種選びと焙煎の調整、そして搾りたてをそのままお届けできること、そのくらいです。
家で作るのも、専門店で買うのも、それぞれによさがあります。ご自身の暮らしに合うほうを選んでいただけたら、と思っています。
テレビ東京「アド街ック天国」 麻布十番 手土産5位選出|TV4番組で紹介
千葉県産ナカテユタカ種100%|純度100%
よくあるご質問
店頭やオンラインで、家で作る方からよくいただくご質問をまとめておきます。
Q. フードプロセッサーで回しているのに、粉のままで先に進みません。
いくつか原因が考えられます。ひとつは、ピーナッツの量が少ないこと。家庭用フードプロセッサーで作る場合、200g以上の量がないと、刃に対して材料が少なすぎてうまくまとまらないことがあります。もうひとつは、フードプロセッサーが熱を持ちすぎて止まってしまうケース。長時間連続で回し続けると過熱保護が働くので、途中で休ませながら進めてみてください。3〜5分回したら一度止めて、ヘラで側面のものを集めてから再開する、というリズムがおすすめです。
Q. 油が分離してきました。失敗でしょうか?
いいえ、自然なことです。砂糖や植物油脂を加えていない無添加のピーナッツバターは、保存しておくとピーナッツ由来の油分が上に分離してきます。むしろ、油が分離すること自体が、ナッツ以外のものが入っていない証でもあります。お使いになる前に、瓶ごとよくかき混ぜていただければ、なめらかな状態に戻ります。
Q. 市販のローストピーナッツでも作れますか?
はい、作れます。手軽さでは断然こちらです。ただ、お店で売られているローストピーナッツは、焙煎から時間が経っていることが多く、香りが弱くなっています。無糖で作るときは、原料の香りがそのまま仕上がりに出るので、生ピーナッツから焙煎して作ったものとは、香りの厚みが変わります。「とりあえず一度作ってみたい」というときは市販のローストピーナッツで、「本気でおいしいものを作りたい」というときは生ピーナッツから、と使い分けていただくのがよいかもしれません。
Q. どのくらい日持ちしますか?
無添加のピーナッツバターは、常温で1〜2ヶ月が目安です。ピーナッツバターは油分が多く水分が少ない食品なので、保存料がなくても比較的日持ちします。ただ、香りや風味は時間とともに少しずつ抜けていくので、おいしさを楽しむには、開封後2〜3週間以内に食べきっていただくのがおすすめです。冷蔵庫に入れる必要は基本的にありませんが、夏場で気温が高いときは冷蔵保存も可能です(ただし固くなって扱いにくくなります)。長期保存される場合は、小分けにして冷凍する方法もあります。
Q. 無糖のピーナッツバターは、そのまま食べると苦手なのですが。
市販の加糖タイプに慣れていらっしゃる方は、無糖の本格的な味わいに最初は戸惑われるかもしれません。お料理の調味料として使う、トーストにのせるときにはちみつを少しだけ垂らす、バナナと一緒に食べる、というあたりから始めていただくと、ピーナッツバター本来の風味に慣れていきやすいと思います。アレンジレシピは別の記事でご紹介していますので、そちらもぜひ。
まとめ
家でピーナッツバターを作るのは、生ピーナッツの調達から焙煎、渋皮取り、攪拌までを通して行う、丁寧な工程です。本格的にやろうとすると1時間ほどかかりますが、できあがった瓶を開けたときに立ち上がるピーナッツの香りは、自分で作ったからこそのよろこびです。
一方で、その時間と手間を継続するのはむずかしい、ということもまた事実です。家で作ろうとして、続かなかった方を、私たちは何人も知っています。
家で作っても、専門店で買っても、無添加の本物のピーナッツバターを食卓に置くこと自体に意味があるのだと思います。どちらかが正解ということはなく、ご自身の暮らしに合うほうを選んでいただけたらうれしく思います。
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<Write:KINOMINOナッツバター編集部>
